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新規事業2026年4月9日読了 10分

「調べておいて」と言われた新規事業担当へ。役員会で止まりにくい市場調査資料の作り方

役員会で市場調査資料をプレゼンするビジネスパーソン

新規事業の担当になると、こんな場面がよくあります。

事業の方向性はまだ粗い。でも、上司からは「来週の会議までに市場と競合を整理しておいて」と言われる。現場ヒアリングも、顧客インタビューも、普段の本業もある。なのに、役員会では"ふわっとしたアイデア"では通らない。必要なのは、思いつきではなく、意思決定に耐える資料です。

ここで大事なのは、あなたが本当に欲しいのは「市場調査」そのものではない、ということです。欲しいのは、役員や上司が判断できる材料です。J-Net21でも、市場調査は単に現状ニーズを分析するためだけでなく、企業がさまざまな意思決定を行う際に重要な情報を与えるものだと整理されています。つまり、調査の目的は"調べること"ではなく、"進むか、やめるか、何を変えるかを決めること"です。

しかも新規事業の社内推進では、単に情報を集めれば済むわけでもありません。Speedaの新規事業担当者インタビューでは、大企業の新規事業推進では慎重派と促進派に分かれ、慎重派は市場規模、勝ち筋、競合との陣取りを疑問視し、ブレーキをかけるとされています。さらに、質の高い信頼性のある情報を集めること自体が難しいと語られています。役員会で止まりやすいのは、アイデアが悪いからではなく、「判断に必要な論点が揃っていない」からです。

では、役員会で止まりにくい市場調査資料とは、どんな資料なのでしょうか。

役員会が見ているのは「調査の量」ではなく「判断できる形になっているか」

新規事業の担当者がやりがちなのは、記事やレポートを大量に集めてしまうことです。業界ニュース、競合のプレスリリース、市場規模の断片的な数字、海外事例。情報は集まるのに、いざ資料にすると「で、うちがやる意味は?」に答えられない。これは珍しい失敗ではありません。

日本政策金融公庫の資料でも、事業計画は事業を取り巻く外部環境を参考にしながら、内部環境で戦略を立てていくものだと整理されています。外部環境として市場やライバルを見るだけでは不十分で、それを自社のターゲット、商品・サービス、チャネル、販売促進などとつなげて考える必要があります。つまり、役員会向け資料で必要なのは"市場調査の結果"ではなく、"市場情報を踏まえた事業仮説"です。

言い換えると、役員会で問われるのは主に次の4点です。

  • 「市場は本当にあるのか」
  • 「その市場で今やる意味があるのか」
  • 「競合に対して勝ち筋があるのか」
  • 「自社がやる現実味があるのか」

この4点に答えられる資料は、枚数が少なくても通りやすい。一方で、数字や記事が大量に並んでいても、この4点が曖昧なら止まります。

最低限、役員会前に揃えたいのはこの5論点

1. 市場規模は「大きいこと」より「定義が通ること」

役員会では、TAMが大きいこと自体より、「その市場定義は妥当か」が見られます。

たとえば「国内DX市場◯兆円」のような大きな数字だけを置いても、事業テーマとの距離が遠いと意味がありません。重要なのは、自社が狙う顧客、用途、商流に近い単位まで市場を絞り、その上で成長性や参入余地を説明することです。市場規模は、夢を見せるためではなく、投資判断の土台を作るためにあります。ここで必要なのは"見栄えのする大きな数字"ではなく、"意思決定に使える粒度"です。

2. 競合調査は「有名企業一覧」ではなく「比較軸の設計」が本体

競合調査でありがちなのは、競合企業を何社か並べて終わることです。

しかし意思決定者が知りたいのは、競合が誰かそのものより、「何で比べると自社に勝ち目があるのか」です。J-Net21でも競合分析は顧客視点で考えることが重要だとされており、価格、品ぞろえ、サービスなど、顧客が比較する軸で整理する必要があります。BtoBの新規事業なら、価格だけでなく、導入負荷、既存運用からの切替コスト、信頼性、購買部門を通しやすいかなども比較軸になりえます。競合一覧より、比較表のほうが役員会では効きます。

3. 「なぜ今か」を外部環境で説明する

市場があるだけでは、社内では動きません。

なぜ今なのか。規制、技術変化、顧客課題の顕在化、既存事業とのシナジー、社内アセットの活用可能性。こうした外部環境と内部事情が重なるから、今やる意味があると説明できます。日本政策金融公庫の資料でも、事業計画は外部環境を踏まえて内部環境で戦略を立てるものだとされています。役員会では、良いアイデアかどうかより、「今この会社がやる必然性」が重要です。

4. 勝ち筋は「強み」ではなく「勝てる条件」で語る

社内資料では「当社の強みは〇〇です」と書きたくなりますが、それだけでは弱いです。

重要なのは、その強みが"市場のどこで効くのか"です。たとえば営業網、既存顧客基盤、技術、人材、ブランド、調達力。どれも立派に見えますが、市場構造や顧客の購買プロセスとつながっていなければ、単なる自社紹介で終わります。役員会が欲しいのは「うちには強みがある」ではなく、「この条件下なら勝てる」というロジックです。

5. 収益計画は"精緻さ"より"前提が説明できるか"

初期の新規事業で、売上予測を正確に当てるのはほぼ不可能です。

だからこそ大切なのは、数字を盛ることではなく、どう置いたかを説明できることです。日本政策金融公庫の『創業の手引』でも、売上や経費を予測し、最終利益や返済可能性を検討し、同業他社の実績なども参考にすることが勧められています。社内起案でも同じで、収益計画の役割は"当たる予言"ではなく、"前提の妥当性を議論できる状態"をつくることです。

自力でやるなら、最低でもこの順番で進める

時間が限られているときほど、順番が重要です。おすすめは、

  1. 何を承認してほしいのかを一文で置く
  2. その承認に必要な論点を3〜5個に絞る
  3. 市場、競合、顧客、外部環境の情報をその論点に沿って集める
  4. 最後に数字を置く

多くの人は逆をやってしまいます。先に情報を集めすぎて、後から筋道を考える。これだと時間がかかる上に、資料が散らかります。先に「役員会で何を判断してもらうか」を決め、そのために必要な根拠だけ集めるほうが速い。市場調査を意思決定のための情報として扱うなら、この順番のほうが自然です。

それでも、兼務でここまでやるのは正直きつい

ここまで読むと、「やるべきことは分かった。でも、それを来週までに形にするのが無理なんだ」というのが本音だと思います。

実際、スピリサ!のようなリサーチ×資料作成サービスが刺さるのは、まさにこの局面です。スピリサ!は、市場調査からそのまま使える資料までを最短3営業日で納品し、元戦略コンサル監修、AI活用による効率化を打ち出しています。料金も明確です。

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特にスタンダードプランは、構造化・グラフ化した3〜5枚程度のスライドを納品する設計です。ざっくりしたテーマでも、調査の切り口や構成から提案してもらえます。

新規事業担当にとって、この種の外注が意味を持つのは、「全部任せる」ためではありません。自分がやるべきなのは、社内事情を踏まえた意思決定の文脈づくりです。一方で、時間がかかる市場情報の収集、比較表の整形、スライドへの落とし込みは、外部を使ったほうが速い場合があります。

まとめ:役員会で止まりにくい資料は、「調べた資料」ではなく「判断できる資料」

役員会前に必要なのは、情報量ではありません。市場規模、競合、外部環境、自社の勝ち筋、収益前提。この5つが、意思決定者の頭の中でつながる形に整理されていることです。

市場調査は、そのための材料集めにすぎません。資料として通るかどうかを分けるのは、情報の多さではなく、論点の設計です。

役員会前で時間がないなら、最初から全部を完璧にしようとしないことです。まずは「何を承認してほしいか」と「そのために必要な根拠は何か」を絞る。そのうえで、自力でやる部分と、外に任せる部分を分ける。これがいちばん現実的です。

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